訪問診療でできることは、患者さまご本人の身体の状況を確認した上での健康アドバイスやサポート、薬の処方をはじめとした身体的サポートです。

身体的・精神的苦痛なことがあった場合は取り除けるようにサポートする、ご家族の不安を取り除く意味では精神的サポートの面もあるかもしれません。

ですが、ご家族の存在が患者さま本人にとっての精神的なサポートになるのではないかと思います。

ですので、訪問診療でできるのは身体的ケアであると考えています。

身体的ケアなら病院でもできる?

「身体的ケアなら病院でできるし、あえて訪問診療なんて必要ないのでは?」
と思うかもしれません。
ですが、この考えは私たちの見方であり、患者さま目線での考え方ではありません。

患者さまにとっては済み慣れた家で過ごすことができ、かつ家族に見守られながら医師の診察も受けることのできる最良とも言える医療の形であるのではないでしょうか。

医療者にできることは、主に身体的ケアに限られていますが、病院で行う身体的ケアと在宅で行う身体的ケアでは大きく異なります。

もちろん、緊急時の対応など病院で行う身体的ケアの方が質が高いのは確かです。
しかし、面会時間などに限りのない在宅での診療を受けることができるというのは患者さまにとって大きなメリットです。

あくまで、「在宅で行う」ことに意味があります。

訪問診療にとって最重要なケアはご家族による精神的なケア

訪問診療の際に医師が行うケアは訪問日の診察と緊急時の対応など限られています。

毎日訪問して症状を伺うというようなことはできません。

ですが、ご家族は毎日患者さま本人と触れ合います。必要なのは、ご家族の理解と協力です。

「ご家族の理解と協力」という精神的ケアがなければ訪問診療は成立しません。

どれだけ医師などの医療者が最良なケアを行ったところで、ご家族の方による精神的ケアがなければ訪問診療は成立しません。

「訪問診療」と聞くと医師などの医療者がメインのようなイメージを持ちがちですが、最も重要な役割はご家族です。

患者さまを中心とした、ご家族によるサポートがなければ医療者も最良のサポートが難しくなりますし、患者さま本人も自宅でゆっくり過ごすことができなくなります。

くどいようですが、ご家族のご協力が一番重要であり、訪問診療を受ける前にしっかりご相談していただきたいポイントでもあります。